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ヘッドスプリングの技術

急成長が見込まれるスマートエネルギー機器(太陽光発電・風力発電・蓄電システム・電動車両等)に欠かせないのが、パワーエレクトロニクスと呼ばれる電力変換の技術です。電力変換器には小型、省エネ(高効率)であることが求められますが、小型化、高効率化の切り札となる「次世代パワー半導体」を使いこなすためには既存のパワーエレクトロニクスだけでは解決できない高周波ならではの様々な課題がありアプリケーションへの適用を阻んでいます。
ヘッドスプリングでは、これらの技術課題を克服した使いやすい「汎用電力変換器(モジュール)」を製品化し、更なる高い変換効率、小型化、低価格化をを図ります。そして、グローバルな展開と、業界の水平分業化による市場創造を行い、各国に必要とされるスマートエネルギー機器を普及させていきます。

パワーエレクトロニクスとは何か

パワーエレクトロニクスとは、電力半導体素子を用いた電力変換、電力開閉に関する技術を扱う分野の総称で、交流から直流に変換する整流器や、逆に直流を交流に変換するインバータなどに活用されています。これらの装置は、発送電や電源装置、鉄道、自動車、家電など広範な分野で利用されています。最近では、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す取り組み)やSDGs(持続可能な社会を実現)の目標達成に世界が動き出しました。これらの目標達成には、パワーエレクトロニクスは欠かせない技術であります。

パワーエレクトロニクス技術は、「パワー」と「エレクトロニクス」と「コントロール」を融合した技術分野であると説明されることが多く、パワーエレクトロニクス製品を開発するためにはパワー回路、アナログ回路、デジタル回路、電力工学、電磁気学、制御工学、マイコン技術、情報信技術など多岐にわたる技術が必要とされます。これらの技術を利用して、電力変換損失を小さくすることで省電力・省エネを追究することがパワーエレクトロニクス技術に求められている使命ともいえます。

どのように電力を変換するのか?

パワーエレクトロニクスでは、スイッチのON/OFFで電気を切り刻みます。切り刻んだ電気は短冊状になるので、これを平均化して希望の値になるように制御しています。例として、直流の電気を交流に変換する際の波形を示します。入力した直流の電気をスイッチのON/OFFで切り刻み、平均化した電気を取り出すと交流の電気に変換されます。

電力変換器に求められる省エネ、小型化のキーデバイス

電力変換器に求められるものは「高効率化(省エネ)」と「小型化」です。
高効率化とは、電力変換器の効率を改善することをいいます。効率が95%の場合、残りの5%は損失(熱)です。例えば、日本の年間電力消費量はおよそ1兆kWhですが、日本中の電力変換器の効率を仮に1%改善した場合、原発1.4基分(100億kWh)の省エネ※1になります。
※1:原発1基分を設備容量100万kWで稼働率70%と仮定した場合。
一方、小型化について、電力変換器の大きさを決めるのは損失です。先ほどの例で5%の損失(熱)が出るケースでは、5%の熱を冷やすために冷却装置が必要です。例えば10kWのインバータの5%の損失は500Wですが、500Wもの熱を冷却するには大型のファンやヒートシンクなどの設備が必要です。この損失を小さくしていくことが、装置の小型化につながるのです。

「高効率化」や「小型化」を実現するためには損失を減らすことが重要ですが、では実際に損失を減らすはどうすればよいのでしょうか。そのカギはスイッチ(パワーデバイス)にあります。
現在使われているパワーデバイスの多くは、Si(シリコン)を材料に作られています。Siのパワーデバイスはこれまでの改良により高い性能を維持していますが、改良進歩の限界に近づいています。そこで、近年SiC(シリコンカーバイド)やGaN(ガリウムナイトライド)という新しい材料を用いた次世代のパワーデバイスが注目を集めています。下図のように、SiCについては高耐圧に適用したインバータが鉄道や家電製品、産業機器に適用され始め、高周波特性に優れるGaNは、通信機器用電源などへの応用が期待されています。
SiCやGaNはデバイスそのものの損失が少ないため、Siから置き換えた場合、パワーデバイスの損失を大幅に低減できるようになります。

SiCやGaNは高速のスイッチング動作が可能です。電力変換器に含まれるリアクトルという部品の大きさはスイッチング周波数に反比例するため、理論的にはスイッチング周波数が10倍になると、部品のサイズを1/10に小型化できるようになります。
また、SiCやGaNはいずれも、Siのパワーデバイスで限界とされる200℃以上という高温で動作します。高温で動作するということは、電力変換器の冷却装置を小型化または廃止することが可能になります。

次世代パワー半導体を用いた
小型・双方向の電力変換器モジュール開発

このように次世代パワー半導体への期待が高まる一方で、次世代パワー半導体の駆動が難しく、普及に向けてはまだハードルが高いのが現状です。まず、「複雑なパワーエレクトロニクス技術の習得が必要」なことと、「製品開発コストが高い」ことです。私たちはこの2つの課題を「モジュール型電力変換器」を製品化することで解決します。さらに、次世代パワー半導体(SiC、GaN)を活用し、さらなる高付加価値製品(高い変換効率、低価格、小型化)を提供しています。

今後は、業界の水平分業化による市場創造と新興国を中心にグローバル展開を行い、各国に必要とされるスマートエネルギー機器の普及を目指します。私たちは単に電力変換器メーカーになるのではなく、汎用電力変換器を競争力の源泉として、カーボンニュートラルやSDGsで求められる商品を自社で企画して事業展開していきます。