biRAPID
組込制御ソフトウェア開発キット
HSDT-KIT-B
電源・電力変換器用の制御プログラム構築作業を便利で直感的にするソフトウェア開発支援キット
関数ライブラリ、データプロセッサ、リアルタイムデバッグ環境をセットにした、電源・電力変換器用の制御プログラム構築作業を便利で直感的にするソフトウェア開発支援キットです。元々、当社エンジニアが開発業務を推進するために整備したツールで、開発の効率化に貢献します。 「マイコンを動かす」ことが目的ではなく、「制御を動かす」ことが目的のエンジニアが、制御ソフトウェアを書くことができるツールです。
パワエレ開発者の負担を大幅に削減できる開発用ライブラリ
近年、世界的にSDGsやカーボンニュートラルへの取り組みが進められています。私たちの身近なところでも、太陽光発電や蓄電システムなどの再生可能エネルギーを有効に活かすような設備や、電気自動車などの電気エネルギーを応用した製品が増えてきています。
太陽光発電や蓄電システム、電気自動車やEV用急速充電器など電気エネルギーを応用したシステムを構築する際には、電気エネルギーを変換・操作するためのパワーエレクトロニクス(パワエレ)機器が使われます。
各装置のメーカでは、パワエレ機器を「いかに効率よく動作させるか」、「いかに小型化できるか」というテーマで日々開発に取り組んでいます。
今回は、パワエレ機器を開発する方々に向けた「パワエレ開発者の負担を大幅に削減できる開発用ライブラリ」についてご紹介します。
パワエレ開発者の悩み①
多くのパワエレ機器は、マイコンによって制御されます。マイコンメーカ各社からはパワエレ用途に使用できるマイコンが数多く販売されています。これらのマイコンを使用してパワエレ機器を開発する際には、ソフトウェア開発者は、開発言語や組み込みプログラミングの知識のみでなく、高度なパワエレの知識を持っている必要があります。
たとえば、インバータを動かすためのPWMパルスを生成するためには、マイコンのパルス生成用タイマの複雑な動作を深く理解している必要があり、さらには、インバータに要求されるパルスパターンについても熟知している必要があります。
これが開発者自身にとって大きな負担になると同時に、パワエレ機器メーカにとってはソフトウェア開発とパワエレ技術を熟知した人材を採用・育成することが大きな負担になっています。
パワエレ開発者の悩み②
パワエレ分野で使用される組み込みシステムには、他分野と比較して非常に高速なリアルタイム性が要求されます。
このため、パワエレ用のマイコンでは演算処理能力を高めるだけでなく、リアルタイム処理の一部をハードウェアに負担させることで性能向上させる取り組みが行われています。
たとえば、パルス生成用タイマに同期したタイミングでAD変換を行うハードウェアや、制御演算の一部をサブプロセッサに分担させる仕組みなどがあります。
このようなハードウェアはパワエレ機器の性能を向上させるのに非常に役立ちます。
しかしながら、マイコンメーカが独自性を強く打ち出している部分でもあるため、マイコンによって大きく仕様が異なったり、新しいマイコンがリリースする度に機能が複雑化したりする傾向があります。
このことは、「新しく高性能なマイコンがリリースされても、ファームウェアの開発コストが大きくかかるために容易には導入できない」こと、また「新しい高性能マイコンを採用しても、マイコン独自の機能を使いこなすのは容易ではないこと」を意味しています。
HSLibは上記のようなパワエレ分野の組み込み開発特有の課題を解決するために、パワエレを熟知したエンジニアがマイコンに合わせて専用開発した開発基本ライブラリおよび制御ミドルウェアを提供します。
HSLibは、パワエレ開発でよく使われる機能をライブラリ化したものであるため、マイコンの複雑な動作を理解せず、様々な機能を簡単に扱うことが可能になります。
HSLibの導入により、マイコンの複雑な動作を理解しなくても、高性能なマイコンを手間なく使うことが可能となり、パワエレ開発者の負担は大幅に削減され、より効率の良い製品開発が実現できます。
※HSLibは組込制御ソフトウェア開発キット「HSDT-KIT-B」の同梱物です。
HSDT-KIT-B仕様
デバッグ | シリアル通信 | HSDT-GUIのVariable Editor機能、Flash Write機能などを利用可能。 |
---|---|---|
波形データ転送 | ー | HSDT-GUIのVariable Scope機能のための波形データを転送。 |
ウォッチドッグタイマ | CPU内蔵 | リセット発生の存在を関数で判別可能。 |
周期タイマ | 2ch / 200MHz | 周期割り込み生成のための32ビットタイマ機能。 |
調歩同期シリアル通信 | 3ch | SCI機能を利用。 |
CAN通信 | 2ch | 通信速度125kbps~1Mbps 送受信メッセージボックス合計32個 |
周期計測 | 6ch | 入力波形のエッジを検出し、その間の時間を計測。 |
エンコーダ | 3ch | A相、B相への入力パルスでカウンタ増減、I相への入力パルスでカウンタリセットが可能。 |
多重割り込み設定 | ー | 各ペリフェラルやPIE等を割り込みフラグとし、複数の割り込みを同時制御可能。 |
外部割り込み | 5ch | 設定GPIOへの外部入力信号で割り込み処理を発生可能。 |
数学演算 | ー | 三角関数、座標変換、リミット処理等をライブラリから使用可能。 |
デジタル入出力 | 各ボード固有 | デジタル入力読み取り、デジタル出力操作、一括読み取りや操作が可能。 |
EEPROM | 各ボード固有 | 各種ボードのEEPROMへのRead/Writeが可能。 |
HSDT-DP機能
PC接続 | USB(mini B) |
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コントローラ接続 | 専用ケーブル(付属) |
通信状態表示LED | デバッグ通信、波形表示ツールの通信状態を表示。 |
Variable Scope
制御プログラム内部変数をリアルタイムに波形表示。
レンジ変更、トリガ機能など、オシロスコープのような使い方が可能。
Variable Editor
制御プログラムの内部変数をプログラム停止不要でリアルタイムにRead/Write可能。