目次
双方向直流電源とは・・・
「直流から交流」、「交流から直流」のどちらの変換も可能な電源です。
そのため、装置としては「直流電源」としても「直流電子負荷」としても
利用が可能な「1台2役」の機能を持ちます。
双方向直流電源の
仕組みについて
双方向直流電源の基本的な仕組みは、次のような流れです。
1.電力供給・充電
電源が電力を供給する時、外部の電力から直流電力を取り込み、必要に応じた電圧や電流に変換します。これに伴い、電源装置は他のデバイスやシステムに電力を供給する事が可能となります。
2.電力回収(放電)
双方向直流電源が電力を回収する場合、通常は接続されたデバイスやシステムからの直流電力を取り込みます。
3.変換と制御
双方向直流電源は、電力の変換と制御を行うための制御アルゴリズムや電子回路を備えており、入力電力を所定の電流や電圧に変換し、出力電力を効率的で安定した制御を行う事が可能となります。
4.エネルギーの管理
双方向直流電源は、エネルギーの管理・制御も行い充電された電力を蓄積し、必要に応じた放電をする事で、電力の効率的で再生が可能なエネルギー統合を実現しています。
双方向電源の利用のメリット
双方向電源を使用することで、ビジネスや家庭、生活圏での再生可能エネルギーシステム(太陽光パネルなど)を導入し、余分な電力を供給できます。
これによりカーボンニュートラルを促進し、環境への負荷を減らすことができます。
また、電力を蓄積するシステムによりエネルギーシステムから蓄積した電力を必要な時に利用可能となります。
これにより、電力需要のピーク時や災害においても、電力安定供給が維持されます。
双方向電源は、電力に問題が発生した場合でもバックアップ電源として機能するので、停電などの場合でも最小限に断続を抑えられ、コスト面では電力料金の削減やエネルギーの浪費の軽減が期待できます。
双方向直流電源の
選び方について
双方向直流電源を選ぶ際には、以下の重要な要素を考慮する必要があります。
1.容量と出力能力
使用するアプリケーションやデバイスの電力要求に応じて、適切な容量と出力能力を選ぶ必要があります。必要な電圧と電流を供給できる双方向直流電源を選ぶ必要があります。
2.入力電圧範囲
使用する電源の入力電圧範囲に合わせて、双方向直流電源の入力仕様を確認しましょう。
電源が使用する構成や環境に合わせて、適切な入力電圧範囲を選択します。
3.出力電圧と電流の安定性
安定した出力電圧と電流が重要です。システムやデバイスが安定して動作するためには、出力の安定性が保証されている必要があります。
4.保護機能と制御機能
双方向直流電源には、電圧や電流の制御機能、過電圧や過電流保護などの安全機能が重要です。これらの機能が装備されているかどうかを確認し、安全な運用を確保しましょう。
5.冷却と効率性
双方向直流電源の効率性も重要です。効率的な低い熱発生と電力変換は、エネルギーの無駄な浪費を減らし、装置の冷却要件を減らします。
6.柔軟性と拡張性
将来的な拡張性や柔軟性も考慮に入れるべきです。アプリケーションの変化や成長に対応できるよう、拡張モジュールやオプションの対応性を確認しましょう。
7. 製造元の信頼性とサポート
製造元の信頼性やサポート体制も重要です。信頼性の高いメーカーから製品を選び、適切なサポートや保証を受けられるかどうかを確認しましょう。
これらの要素を考慮して、自分のニーズやアプリケーションに最適な双方向直流電源を選択することが重要です。
双方向直流電源の
アプリケーション
V2H/ 系統連系
電気の出し入れが自由な大容量の電池として使用できます。
エネルギーマネジメントシステムの評価にご利用いただけます。
・双方向性
biATLASシリーズは双方向動作する機能を持っています。
双方向とは、電力系統に対して、交流と直流との電力変換を双方向に行うことを意味しています。
双方向電源であることにより、充放電を伴うバッテリーを模擬でき、シームレスな開発・検査・評価を実現できます。
双方向なので、EVバッテリーを模擬可能
V2Hの評価は、「EVバッテリーへの充電」および、「EVバッテリーを家庭へ電力供給」の2つの動作を行う必要があります。 双方向電源はEVバッテリーを模擬する役割になれる為、1台2役の用途で使用できます。
モータードライブ用
インバータ
モータードライブ用のインバータの評価に使用できます。
・回生動作
双方向動作には力行と回生の2つ動作が含まれます。力行は単機能電源のような電力供給機能を持ちます。 回生は電子負荷のような電力を吸収する機能に加えて、電力を熱として消費せず、構内に電力回生する機能を意味しており、これにより省スペースで設備を構築できます。
モーターの逆起電力を吸収・電力回生可能
モーターの回転中や制動時の逆起電力をbiATLASシリーズは吸い込むことが出来ます。
(双方向動作)
また、吸い込んだ電力を構内に回生できるため、電子負荷装置やバイポーラ電源を使用するより、はるかにスペースを必要としません。
バッテリー充放電
EV バッテリーや太陽光発電用の蓄電池など幅広いバッテリーの充放電装置として使用できます。
電池電圧 | 用途 |
---|---|
800~1000V | EVトラック/EVスポーツカー |
500~1000V | EVパス |
400~750V | エネルギー貯蔵システム |
200~400V | 家庭用蓄電池 |
200~400V | EV乗用車 |
48~96V | フォークリフト/電動バイク |
・小型・軽量
biATLASシリーズは持ち運びしやすいサイズと重量が特徴であり、狭いスペースでも設備導入できます。
・幅広い電圧範囲をカバー
biATLASシリーズは 0V ~ 1000V の幅広い電圧範囲を持っており、用途に合わせて幅広く使用できます。
持ち運べるサイズに意外と高いニーズ
充放電システムは、製造工程に設置することが前提の、大型のシステムが多く、実験室や電池管理倉庫、ユーザデモンストレーションなどでちょっとした充電電源として、放電用負荷装置として持ち運べるものはほとんどありません。
ハイブリッドパワー
コンディショナー(PCS)
バッテリー模擬ができる電源なので、ハイブリッドパワーコンディショナーの評価に使用できます。
・バッテリー模擬システム
biATLASシリーズには、バッテリーを模擬する機能を搭載しています。biATLASのバッテリー模擬機能は、「端子電圧-SOC 特性」と「内部抵抗-SOC特性」の動作が可能になります。 操作パラメータは「電圧v, 電流i, 時間t, 充電状態SOC」であり、バッテリーの特性に合わせた評価が実現できます。
バッテリー模擬機能を搭載している電源は使いやすい
PCSの評価にはパッテリもしくはバッテリー模擬電源が必要になります。 バッテリーを使用する場合、事前充電やバッテリーが劣化した場合の交換などが必要になりますが、バッテリー模擬電源であれば、それらが不要で効率よく評価できます。
DCDC コンバータ
直流から直流への電力変換が必要な製品評価に使用できます。
特に双方向アプリケーションではシームレスな評価を行うことができます。
・高効率
biATLASシリーズは、次世代パワー半導体SiCを採用しており、非常に高い効率を持っています。 高効率である為、電力消費が少なくでき、構内に電力回生もできるので省エネになります。特に長時間試験する場合などは電気料金の削減ができ、経済効果もあります。
回生型の高効率電源で省エネ・省スペースに
V2V のような直流から直流へ双方向に電力変換する製品には回生型の直流電源が最適です。
双方向の試験を設備の組み替えなしでシームレスに、作業効率が高くできます。また、「高効率+回生機能」により、省エネ・省スペースな設備を構築できます。
車載充電器(OBC)
さまざまな定格電力に合わせた評価に使用できます。
・電力拡張性
biATLASシリーズは、直列接続、並列接続により電圧範囲、電流範囲を拡張することが可能です。 最大 20 台まで直並列接続を行うことができるため、100kWまでの双方向直流電源をフレキシブルに構築することができます。 複数台のbiATLASを用意しておけば、用途に合わせた電源をオンデマンドに構築でき、複数の用途で共通の設備を使い回すことが可能となります。
大容量化する車載充電器に、拡張性のある電源設備を
EVに搭載される双方向車載充電器は年々大容量化しています。このような市場変化の大きい製品には拡張性のある設備が使いやすく、重宝されます。
biATLASは電力拡張性に優れており、バッテリー模擬もできるので、双方向車載充電器として最適に活用できます。
よくある質問
-
Q
双方向電源の用途はなんですか? -
A
直流で電力を供給し、それと同時に電力を受け取る事が可能な電力装置となります。
双方向直流電源は、電気自動車、電気バス、路面電車などに使用され建設機械などにも応用可能となります。
双方向直流電源を使用する事で、電力供給や逆流電力の効率的な回収が可能です。 -
Q
双方向DC/DCコンバータとはなんですか? -
A
双方向DC/DCコンバータは、直流電力を両方向に流す事ができる変換装置です。通常、一方向にのみ電力を変換するDC/DCコンバータは、入力側から出力側に電力を供給しますが、双方向DC/DCコンバータは入力と出力で電力を双方向に流す事が可能です。
双方向DC/DCコンバータの主要な用途として、電力の回生と再生です。モーターなどのエネルギー負荷を回収し電力ネットワークに回生(戻す)事が可能となります。また、エネルギーストレージシステムやバッテリー充放電システムなど、双方向の電力フローが必要なアプリケーションにも使われます。
双方向DC/DCコンバータは、効率的に違う電圧レベル間で電力を変換し、電力を制御する事が可能なため、エネルギー効率向上、電力安定化に効果的です。
これらは電気自動車や再生可能エネルギーシステムなど電力管理、エネルギー効率の面で大変重要な要素となります。 ヘッドスプリングでは各種計測器へ簡単に連動可能な『つながる電源』として双方向直流電源biATLASをご提供しております。
biATLASのご紹介 -
Q
双方向電源の仕組みを教えてください。 -
A
双方向電源には、直流から交流、交流から直流への変換可能な電力変換装置が組み込まれており、これにより、適切な形式に入力された電力を変換し出力する事が可能となっています。
また、制御回路として電力の供給および吸収を制御する機能も備えており、必要に応じて電流を制御し、電力供給の安定化が可能となります。
双方向電源の一部の機器には、外部との通信が可能な通信インターフェースが備わっている機器もあり、外部電源の設定や動作制御が可能です。
更に双方向電源には過電圧や過電流など異常状態から装置を保護するため保護回路があり、接続機器やその他装置の損傷から機器を守る事ができます。
以上の構成が組み合わさり、電力の供給と吸収を効率的に管理。安定した電力供給を双方向電源は可能としています。